『彼に守ってほしい10のこと』ライナーノーツ
-リリースによせて-
はじめてつくるほんとうの意味でのシングルCD、植田真梨恵はこの1枚をひっさげてメジャーデビューするという、私の新たな第一歩だと思っています。
今、私がみなさんに向けて歌いたいのは一体何なのか考えました。これまで15歳の頃から曲を書いて、17歳のころから皆さんに音源を届け始めて、それをずっと続けてくることができたんですが、これまでは自分が単純に歌いたいこと、胸に抱えているものをただただ吐き出していたところがありました。でもそうじゃなく、そういう部分以上にもっと、皆さんの耳まで届いた時に、悲しいだけじゃなくて、さびしいだけじゃなくて、私なりの結論を見つけて歌ったものを提示していきたいと思いました。
世の中には、男のひとか、女のひとしかいなくて、わたしは女の子として、女の子の心で夢みたいに広がる音楽を作りたいと思っています。今回の「彼に守ってほしい10のこと」というシングルは、そういう女の子ならではの気持ちが、いつまでも時を越えて残って、伝わっていったらいいなという思いを込めて作りました。
-ライナーノーツ-
女の子が男の子とお付き合いをした時に、たぶんできることならばみんな、いつまでもしあわせにずっと一緒にいられることを願っていると思うんですが、例えばどんな約束さえ守ってくれたら、すべてを許してずっとそばにいることができるだろう?と考えてつくった、さだまさしさんの逆関白宣言的な一曲です。女の子の望みは、数え始めたらたぶん本当は10個ではおさまらないかもとも思うんですが、逆に言ったら、これさえ守ってくれたら私はずっとそばに居られるんだよと歌っているんです。
歌詞とメロディは、最初のフレーズが出てきてからすっと書き上がったのですが、今回、新たな試みとして、編曲をアレンジャーさんにお願いするのではなく、バンドメンバーと一緒にスタジオに入って、いっせーのーせーで曲を合わせてみて、そこから各楽器のフレーズやリズムパターンなど細かいところを一緒に考えていくという作り方で作りました。曲一曲が少しずつ、確かな形で肉付けされていくというか、私の中ですべての音が、鳴っていて無駄のないものばかりで、とてもすべてがしっくりきています。岡本さんのギター録りもかなりいろんなバリエーションで試して音を選んでいきながら、いちばんいい形で収録できて、私自身ようやくギターのことが好きになって、もっとギターのことを勉強したいなと思うようになったりもしました。
夏に皆さんに聴いてもらう曲としては、アッパーでさわやかできらきらした、気持ちのいい一曲になったんじゃないかなと思います。たくさんの女の子にすきなひとのことを思って歌ってもらえたらうれしいです。
-ライナーノーツ-
五月末の暑い暑い日の夕刻頃に、ぽろぽろと部屋でアコギを鳴らしながら、だらだらとある曲を書いていたとき、急にそこにふっと紛れ込んできて、そのままそのときに書いてた曲よりも先に最後まで出来上がった一曲です。暑い日に食べてたアイスがどんどん溶けていくかんじと、なんとなくそんな暑い日の午後がずっと永遠に続いたらいいと思うような、恋の情景を歌っています。
日本人でよかったなと思うのは、おいしい鍋を食べたときとおいしいさんまを食べたときと、日本語の歌詞でうんうんと悩めるときです。ダラダラの歌詞は日本語ならではの、日本語だけが持つ独特な響きとか、こまかい言葉のもつニュアンスをいっぱいいっぱいに含んで出来上がっていて、例えばそれが[和風] かと言われるとそれはそれで程遠いんですが、書いて出来上がった時、本当に日本人でよかったなと思いました。
弾き語りのライブをどんどんやっていく中で、アコギ一本と歌だけでほんとに事足りる、もうほかになにも要らないような曲をたくさん書きたくなって、実際にライブでよくやっていたのもあって、今回は本来のそのものの形である弾き語りの音源を収録しました。みなさんの部屋まで、スピーカーやイヤフォンを通ってダイレクトにつながったらいいなと思って、最後まで作り上げました。懐かしい夏の思い出を呼び起こす感覚にも近いと思います。青春みたいなものとも言えるし、これから先ずっとのこととも言えるし、今のたった今とも言えると思います。
-ライナーノーツ-
今回のCDの中では一番若いときにできた曲で、17、8歳当時の私が作詞作曲したものです。デモが出来たときから、担当のスタッフさんがずっと好いてくれていたみたいで、これまでにもっとブラッシュアップさせようとして書き直したりもしたんですが、出来上がったものがほとんど別の曲みたいになっちゃって、アリス2 って曲が生まれたりもしました。
今回収録しているアリスは、ブラッシュアップする前の、そもそも生まれたままの形での詞と曲のアリスであり、あえてもうなんにも変えずに今の私が歌って収録しました。
そもそも私自身ディズニー映画が大好きで、小さい頃から母親とレンタルビデオ屋で何度も借りてはくり返し観ていたんですが、高校生になって大阪でひとりで暮らすようになってからも、なんとなくディズニー映画の必要性を感じていてDVDを何本か買い揃えたんです。それからも繰り返し繰り返し、中でもアリスをよく観ていて、アリスは物語の途中、迷い込んでしまった不思議な森の中で、もう不思議な世界はうんざりになっちゃって、うちにかえりたくなっちゃって、好奇心だけでどんどん先へ進んでしまった自分のことをとても責めて、反省もするんですが、その直後またそれをすっかり忘れて、また先へと進んでしまうんです。そういうところにやたらとシンパシーを感じてしまって、というか、どこかアホであることの良さみたいなものを時折すごく思うんですけど、そういう気持ちの波であったり、「良い」と「悪い」の繰り返しを、繰り返しとして選んでいけるかどうかが、何かを続けることに掛かっているような気がするので、この曲をちゃんと収録しておきたいなと思いました。
これはベースの麻井さんに編曲をお願いしました。かわいらしい感じとか、淡々としたままで一曲終わるところが気に入っています。ロリータの象徴であるアリスが、ずっとかわいらしいままのイメージで古ぼけていくようなところに、これもまた女性ならではの憧れや願望が込められた一曲になっています。