『わかんないのはいやだ』ライナーノーツ
飽きた。
正直書きたくないです。わたしは曲を書くのは好きなんですが、ライナーノーツを書くのは嫌いなんです。なぜ、曲を書いてリリースするたびにライナーノーツを書かなければならないのだろうか。曲を聴けば、わかるんではなかろうか。もしくは言葉や文章で説明なんか到底できないから曲にしているんじゃないのか。まず解釈はそれぞれの自由じゃないのか。どこをどうこだわったとかどこにどれだけ苦労したかなんて誰が興味があるんだろうか。というかそんなことを話してしまうのは無粋ではなかろうか。こんなことを常に思っていながらこれまで、ライナーノーツを私は私なりにちゃんと、書いてきました。それはなんでか。わかりません。わかりませんが、知りたい人がどうしても知りたい時に知れるように、くらいには、もしくはこういう風にCDを聴いて植田真梨恵を知ってくださるみなさんと、わたしの生活や制作に関することへの思いの中でなんらかの共感ポイントがあれば。もしくは生まれたもののすでに回る予定の無い、言葉を持たぬCDが回るためのきっかけになるのであれば。書こうと思います。これはほんとうに読みたい時か、ちょう暇な時か、もしくはほんとうにお仕事に真面目な時に、読んでもらいたいと思います。
決して無理に読まないでください。よろしくお願いします。
今このライナーノーツを書きながら私は、hideのja zooを聴いています。本当に最高です。これが本当の本当に、hideが完成まで生きて、全ての曲たちが揃ってパッケージされていたとしたら、どんなふうになっていたんだろう。なんて最高のミックスなんだろう。なんでこの曲を収録したんだろう。「割れた太陽みたいに飛び散った日々も」というのはどういうことだろう。なんでこの曲はこんなに悲しいんだろう。いつまででも聴いていたいアルバムで、私は元気をなくしたらこれをこれからも何度でも聴くことと思います。わからないことはたくさんあります。でも、胸がとても何かよくわからないものを感じるので、この曲たちをずっと、聴いてるんだと思います。
-ライナーノーツ-
そもそもは、わからないけどわかるというテーマで「わからなわかる」という曲を書こうーとは思っていたんです。誰かに何かを話した時、「わかるわかる」と言ってもらえるとうれしかったり安心したり、でも時にわかられてたまるか、と思ったりすることもあります。自分によっぽど余裕がないときですが、そんなときに私は音楽を聴くことが多いんです。あと、これは特に音楽や何か創作物に触れた時、なんかわかんないけどわかるな、とかそういうことを思うことがあります。そういう感じを曲にできたらなーと思いながら、iPhone のメモの中にタイトルだけが残ったまま日が過ぎていました。
ちょっと話すと長くなってしまうのですが、先日、友人の萌子の家で飼っている猫のミーコ(6才・オス) が家を出ていってしまったらしく、全然帰ってこないと連絡を受けました。私はそのとき東京にいたのですぐに駆けつけて探すことができなかったんですが、後日大阪に帰って、夏を目前にわりかし差し迫ってきた曲作りもそこそこに、丸5日経っても帰ってこないミーコを探しにゆきました。
近くに長居公園というでっかい公園があって、あそこは野良猫も多いし、ミーコも立派なノラとして生きていくのかなーなんて少し思いつつ、とはいえそばの大きな道路に車はびゅんびゅんで、しかも彼女は引越しして間も無く、新居は13階建てで1棟も2棟も3棟もぜんぶつながっているマンモスでかいマンションで、人間でも覚えるのが難しいのにいくら帰省本能のある猫でも帰ってくるのは難しいだろうと心配に思いながら、わたしはミーコをひたすら、とにかく探したんですが、見つかりませんでした。どうしようもないので仕事終わりの友達と連絡を取って、深夜にミーコの貼り紙を作りました。「とにかく大きい茶トラ、鼻に黒い斑点、しっぽ短い、名前はミーコ(オス)、見つけた方は連絡ください」と貼り紙をして、何日経ってもミーコは出てきませんでした。私も8年いっしょに暮らしている猫がいるので、とても胸が痛く、何か言って励まそうと思い、そこで「こんなことなかなかないわー。一曲書けるほどやわー。」とか言いました。「一曲書けたころにミーコ見つかるわー」とか言いました。その後も何日もミーコは帰らず、いよいよかける言葉も見当たらずに困って、自分はなんてアホで、浅はかなんだろうと書き始めた曲がこの曲です。ほんとに、なんと励ましたらいいのかわかりませんでした。
それで、ほんとにそこに対しては期待していたわけではないんですが、この曲の歌詞とメロディができた次の日、ミーコは自分の力で家まで帰ってきたそうです。家を出ていってから2週間。ドアを開けていたらミーコが部屋の中におもむろに現れたそうです。なんとまあ。っていうか帰ってこれるんかよ。すごいな。そういうわけで、ミーコも友達ももう元気です。
これから来る季節に、大きな声で誰もが歌えるような、そして聴いていたらわくわく楽しくなってくるような、あっという間に終わってしまう夏みたいな曲を書こうと思っていました。去年の夏にメジャーデビューして、あっという間に夏が過ぎ去っていったからです。今年はもうすこし夏を感じたいです。夏は楽しいので好きです。最後の最後のミックスまで集中して作った1曲です。ライブでやるのが楽しみです。
-ライナーノーツ-
オルビス化粧品の方が、「はなしはそれからだ」ワンマン初日、リキッドルームに来てくださいました。初めてそこでご挨拶をして、オルビス化粧品のリニューアル製品「新クリア」の曲を書くこととなり、お話を伺いました。何かテーマに対して曲を書くこと自体とても好きなので、わくわくしながら書かせてもらいました。私と同年代のがんばる女性たちにとって、仕方がない女性の周期で繰り返してしまう周期ニキビにも負けないというイメージがまずあって、そこから歌詞を膨らませて書いていきました。私としては、一生懸命毎日働いている女性が、何かのきっかけでもっと強く変わろうとするところをイメージして曲を作っていきました。
今回は1曲目もこの曲も、編曲を徳永暁人さんにお願いしていて、2曲ともひたすらタフに要望に応えて頂きました。本当に有難かったです。
こちらはキラキラした中にしっかりと芯がある感じで、クリアな強さであって夏っぽい清涼感を持った1 曲になったと思います。ここまで爽やかと言える曲を書いたこと自体がとても久しぶりだと思います。歌うのも、ひたすらまっすぐに、透明で強い感じが出せるといいなと思いながら歌いました。とても楽しく作らせてもらえた1 曲です。
-ライナーノーツ-
ずっと昔に弾き語りで録ったデモの中にあった曲を、今回弾き語りでレコーディングしたものです。17歳くらいだと思います。歌詞の車に乗って海に行った思い出というのは、もっとずっと昔、私が小学生の頃に、当時父が乗っていたセレナに乗って唐津方面の海に家族で出かけたときのことを歌っています。実はそれ以降家族4人で車に乗ってどこか出かけたような思い出が特になくて、夏の、海の思い出で出てくるのはだいたい今でもそのときのことです。
これを書いたときのことは鮮明には覚えていないんですが、暑い日、会社のプリプロルームにひとりで入って、すーっと作り、その後ライブで演奏したことも多分一度もないんじゃないかなと思います。せっかく夏まっさかりに出すCDなので、夏の匂いがしっかりする1枚にしたいなと思って収録を決めました。
アコギの録音に毎度苦労するので、最近はギターを圧倒的に弾く人にすごく憧れています。以前は、自分はあくまでボーカリストだーという想いを忘れず持っていたんですが、最近そうも言ってられないくらいギターを弾いているし、この夏はアコギワンマンもやりますし、今回ばかりはギターというものを本気で練習しようかと思っている、今日は6月5日の金曜日でした。
ジャケットなどを含めた完成版をみなさんにお届けできる日が、とても楽しみです。
長々と読んでいただきまして、ありがとうございました。